東日本統合医療研究会ブログ

『自分を知ると人生が楽しくなる~仏典から読み解く心の成り立ち~』アンケート結果

12月5日にオンラインで開催しました日本統合医療学会 北海道東北ブロック会・北海道統合医療研究会共同開催の勉強会「自分を知ると人生が楽しくなる~仏典から読み解く心の成り立ち」は録画視聴と併せて45名の方からお申し込みをいただき、当日は31名の方にリアルタイムで参加いただきました。講師の太瑞知見先生の丁寧でエネルギッシュかつテンポの良い講義に皆さん食い入るように熱心に参加してくださいました。質疑応答も大変活発で、知見先生には時間を超過してお答えいただき、さらに皆さんと学びを深める事ができました。このような素晴らしい学びの場とさせていただきましたこと、参加の皆様、知見先生に深く感謝申し上げます。

知見先生には大変お忙しいにも関わらず、講義後もアンケートにお寄せいただいた質問に答えていただきました。

アンケートでの質疑応答と結果を掲載いたしますので、今後の生活やご自身の振り返りなどで活かしていただければ幸いです。(*アンケートは了承のあった方のみ掲載しております。)


*アンケート結果 (回答 22名)

Q1 勉強会に参加してすぐに実行したいと思ったことがあれば教えてください。

〇座禅

良い縁を循環させる

〇心はどのように生じるか≪観察≫目をあけて何かを考えている心を観る

〇自分自身も人様にとって良い縁となれるように生きようと思いました。

〇幸せに生きるように二つめの矢を受けないように実践します。

瞑想。

〇苦しい時は与える

自分の心を雑に扱わず、自分なりに大切に扱ってあげたいと思います。

〇まずは自分自身を大切にする。尊重する。雑に扱わない。

〇事実は事実として受け止める。心の働きや考え方によっで苦しみを作り出していないか、客観的に観る習慣をつける。「第2の矢を受けない」を意識して過ごす。

Q2 勉強会に参加して、良かった点、印象的だったことなどをお聞かせください。

自己内省

〇仏典からの心について こんなにも広く深い内容に とても興味深く学ばさせて頂きました。

第二の矢を受けない

〇仏教にとても興味を持つことができました。 特にお釈迦様の一生を深く知りたいです。 心と心の反応の違いや、第二の矢を受けない事など、日常生活で大切な事を教えて頂き感謝しております。

〇心に浮かんだ事を思っただけで終わらせないで、やってみる、実行するという事です。

〇太瑞知見先生との出会いをいただけたこと。 HTBの会員という,よき縁のところに自分の身をおけていることにあらためて感謝します。

〇お釈迦様の教えをわかりやすく楽しく学べてよかったです。多くの智慧を単なる知識としてではなく実践してゆくところがヨーガにしても仏教にしても良いなと改めて思いました。ありがとうございました。数の話が印象的でした。

〇漢字だらけの仏教の教えを、わかりやすい言葉に置き換えていただき、とても頭に入りやすかったです。先生の快活でテンポ良いお話で、楽しい時間でした。以前、札幌で開催されたアーユルヴェーダのワークショップにも参加させていただきました。今回もお話が聴けて嬉しかったです。

〇仏教は日常の行事になっていますが、更に「お釈迦様」が身近になった気がします。

〇お釈迦様の生涯や教えなどを通じて、心の成立ちについて知ることができました。限られた時間だったため、もっと知りたいと思いました〜。また是非知見さんにご講演いただきたいです!

〇参加をさせていただいてよかったです。言い表せない感動でした。

〇バーリー、漢文、サンスクリットの言語をまとめられた貴重なテキストと、難解な仏教哲学を、平易な言葉で、分かりやすく、しかし論理的に説明していただけたこと。

〇心は捉えどころがなく、本当に扱いづらいと感じていました。どうしたら手懐けられるだろう、制御できるだろう。と考えていましたが、その心を護ることが幸せな人生を送るうえで大切という事が、とても良かったです。

〇仏典とは無縁の生活をしていたので、全てが新鮮でした。 講演中の座禅は、印象的でした。短時間で簡単に出来るものだとは… 瞑想は比較的長い時間かけて自分と繋がるので、座禅もTV等では長い時間かけていると思い 講演中の1分とかで出来るなんて‼︎

〇知見さんの明るさ。率直さ。そういう普段の顔とはうって変わった、家族を亡くした人のお話を聴く態度。辛いお話を聴く時には辛そうなお顔で真剣に傾聴する態度。

〇苦しまなくていいんだよ.心が動いているのをしっかり見つめる

〇幸せになって良い、というお言葉はとても優しく、そして力強い言葉に思えました。また、自分に敵意を持つ人や、自分を雑に扱う場所からは距離を置いて良い、ということも、そこで力を入れて踏ん張って耐える以外にも選択肢をもって良いのだと思えたことはとても心強く感じました。

〇この度の太瑞知見師のお話を聴きまして すべては【縁】によって生じていたことに “そうか” そうだったのか・・・と感慨深く そして納得できました。

〇知見さんのこれまで取り組みと現在の活動、そしてご講義の内容をお聴きして、このような方が実在されているのかと感銘を受けました。そしてこのような出会いをさせていただいたことに深く深く感謝いたします。 お釈迦様が「その苦しみはなくす事ができるよ。苦しまなくていいんだよ。幸せに生きましょうね。と仰ったと講義をして下さいましたが、知見さんがお釈迦様に成り代わって側に来て下さった、そんな感覚になりました。

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☆アンケートの質疑応答

Q:知見先生はヨガもなさっているとお聞きしましたが、ヨガを実践したことで得られた新しい気づきがあれば教えてください。
A:コロナになってからヨガを始めました。ヨガ、いいですねぇ〜。ヨガを実践して1番の驚きは、身体を緩めると心も緩まることに気がついたことです。 身体が楽になると、楽に坐れますよね。 楽に坐ると、心の動きに気がつきやすくなります。この気づき、大きいです!

Q:素晴らしい講義ありがとうございました。素晴らしい教えですが、インドではどうして仏教徒が少ないのでしょうか。
A:実は仏教は、1200年ごろにインドで滅亡してしまいました。イスラム教がインドに侵攻してきたからです。イスラム教の偶像崇拝を禁止する教えによって、徹底的に仏教寺院や経典が破壊されました。この時に仏教は物理的に破壊され、滅亡したとされます。インドではそれ以後イスラム教の王政が続き、次第に仏教は忘れ去られてしまったのです。
その他の要因として、ヒンドゥー教に仏教が取り込まれたこともありますが、決定的なのはイスラム教の侵攻でしょうね。

Q:「お釈迦様の薬箱を開いてみたら」の文中に、仏教教団の四依に、牛の尿を発酵させた薬という一文が ありますが、現代ではどんな薬を指すのでしょう。
A:するどい!これはいまだ謎なのです!
パーリ語原語では「Pūtimuttabhesajja」といい、「腐った尿の薬」と訳されますが、すみません、私にも具体的に何を指すのかは分かりません。ライフワークとして調べます!

Q:バーリー三帰依文についての解説をお願いできればありがたいです。
A:お〜、よくご存知で!
南伝仏教ではパーリ語で仏法僧の三宝への帰依をお唱えします。これが三帰依文です。
Buddhaṃ saraṇaṃ gacchāmi.(ブッダに帰依します)
Dhammaṃ saraṇaṃ gacchāmi.(ブッダが説かれた法に帰依します)
Saṅghaṃ saraṇaṃ gacchāmi.(ブッダの教えを実践するサンガ(=お坊さんの集団)に帰依します)

これを北伝仏教では
「南無帰依仏
南無帰依法
南無帰依僧」
と訳しています。直訳です。

つまり
・仏(ブッダ=悟った人)
・法(ブッダが説いた教え)
・僧(ブッダの教えを実践する集団=4人以上の集団)
の3つに帰依します、信仰します、という信仰告白みたいなものです。原始仏教ではこの三帰依が出家声明となっていたようですが、今では慣例的にお唱えしていますね。

Q:お釈迦様はどうやって、何を勉強して悟りを開かれたのでしょうか? 何か経典・聖典に触れられたのか、坐禅や修行を通してご自身で気づかれていったのかがとても気になります。
A:実はお釈迦さまは悟った後に「我に師なし」という発言をされています。色々と学ばれたようですが、最終的には自力で悟りを得たということでしょうね。実際に決定的だったのは坐禅の中での悟りだったようです。「エーヒパッシカ(Ehi Passika=やってごらん)」ですね。

Q:まだ知識と宗教との違いまで分かっていないのですが、現在ヴェーダンタを学んでいます。仏教は宗教 かと思いますが、今日先生のお話しを聴いて知識なのかもしれないと思いました。どのように仏教を勉強していったら良いのかお教え頂けますと幸いです。
A:仏教は知識ではなく、実践ですね。実践の後に信仰が芽生えます。信仰と言っても、闇雲に信じるのではなく、確信と言った方がよいでしょう。それは実践に基づいた確信です。言葉にできない腹からの「うなずき」ですね。仏教理解は『話を聞いてみて、やってみて、整合性を確認する』(三転)です。信仰が先にきてはあまり良くないと思います。実践をし、冷静に自己を観察しながら、仏教の勉強をなさるのがいいかと思います。
Q:お釈迦さまは、苦行は意味がないと悟り、そこから坐られて解脱なされた事からみると、意味のない苦行にも意味はあったのでしょうか。
A:「意味のない苦行にも意味はあった」、いい表現ですね。私もそう思います。
例えば、科学実験では、実験がうまく行かなくてもネガティブデータとして記録されます。つまり「このやりかたダメだったよデータ」です。苦行は「やってもいいけど、悟りの役には立たないよ。時間の無駄になるかもね。でもまぁ、経験としてはいいかもね、時間が無駄になるけどね、、。」って感じなのかもしれませんね。個人的には一度やってみて、「キツイ!もうやんない!」と苦行を経験した方が面白いと思います。

Q:講義のラストに「幸せになるためには4つあって、一つはダーナ(さし上げること)」との事でしたが、あとの3つを教えて下さい。

A:お釈迦さまが説かれた「幸せになる方法」には4つあって、「四摂法(ししょうぼう)」といいます。

四摂法
1. 布施(ふせ<dāna):施すこと、ギフト。
2. 愛語(あいご<(priyavacana):優しい言葉がけ
3. 利行(りぎょう<arthacaryā):人のためになる行い
4. 同事(どうじ<samānārtha):人の身になって考えること。他人と協力すること。
です。