旧・ハマナス音楽&看護療法研究会

「ハマナス・音楽&看護療法研究会」活動終了のご挨拶

会長 猪股千代子

「ハマナス・音楽&看護療法研究会」(以下、当会)の会長として、活動閉会のご挨拶を申し上げます。

私は、2004年に、東北大学及び宮城大学で「統合医療」に出会い、2009年から、札幌医科大学在籍中に北海道難病連のご協力をいただき、当会を立ち上げ、その後、札幌市立大学に移籍しましたが、おかげさまで、統合医療の実践・研究・教育の基盤を整えることが叶いました。

当会は、医療従事者と音楽療法士やアロマセラピスト、ヨーガセラピストなどの療法士の方と共に、自然治癒力を高める新しいケア方法を創造することに挑戦してきました。参加者は、神経難病患者の方が大半でした。

発足して間もなく、2011年3月11日に発生した東日本大震災のボランティア活動に、日本統合医療学会(現・名誉理事長の仁田新一先生)の東北支部の呼びかけに応じ、気仙沼市立階上(はしかみ)中学校体育館避難所に、6月17日から19日、当会の有志数名とともに参加し、音楽療法を受けていただきました。被災者の心と身体のケアに統合医療が有効であることを、被災者と会員同士で共有できたことは、統合医療を推進する会員の志を堅実にしたように思います。

その後、現行のヘルスケアシステムにどのようにすれば、安全で、参加者のニーズに即した、自然治癒力を高めるケアを提供できるのかの視点で、プログラム創りと実践、その効果の評価を行い、時に、札幌医科大学、札幌市立大学看護学生などの教育の場、道内外での出前セッション(音楽・アロマ・ヨーガをとりいれた健康づくり)では地域の市民との交流の場となり、保健医療福祉職の人々に統合医療を学んで頂く場の役割を果たして参りました。

さらには、真のチーム医療のありかたを、療法士や参加者との関係性から学び、協働とは、ケアリングとは、癒しとは、健康とはどのような状態を表すのか、スピリチュアリティを育むケアとはどのようなものかなど、参加患者さんも交えて、たくさん意見交換を行うことができました。

特に、参加者に対するインタビュー研究からは、この場は、「寄り添い・絆を深め・しなやかな心を取り戻す生 (スピリチュアル) を支えるケアが繰り広げられ、生命が響きあい、生きていく力を強めている」ことが導き出されました。医療者も参加患者も、意識の拡張や霊的成長をもたらし、生きられる工夫や養生法を見出し、愛他精神が育まれていました。

会を立ち上げた頃、スタッフは補完代替医療の知識や技術不足のため、チームの中の各職種の役割が見いだせない状況を経験し、葛藤しました。しかし、ナイチンゲール精神に立ち返り、癒しのケア実践をとおし、あらためて、「ヒューマンケアリングがヒーリングをもたらすという看護ケアの崇高な価値」を確信できました。療法士にとっても、参加患者さんの「多様なニーズに応える癒しの技術を洗練・創造する機会」となり、実践能力の向上をもたらしました。

しかし、私事ですが、2020年3月に札幌市立大学で定年退職を迎えたため、住まいを札幌から仙台に移しました。同時期におこったCOVID-19の世界的・爆発的感染と、感染拡大防止対策の下で、いかに、この活動を継続できるか苦悩しましたが、メンバーのハマナス愛に支えられ、知恵を出し合い、その結果、ZOOMによる遠隔実践をセミナー形式で対応することができたのは、真に奇跡的で幸運な物語といっても過言ではありません。

しかしながら、この2年の間に、参加者やメンバーとその家族の健康状態や生活状態も変化し、当会の活動を継続することが困難となりました。

この度、正式に、2022年3月末日をもって、13年間の活動を終了することをお伝え申し上げます。

われわれが描いていた、統合医療の普及活動の目的は、当会の活動にご参加いただきました皆様と、敬愛する全ての会員のご協力によって、実現することができました。前述の「寄り添い・絆を深め・しなやかな心を取り戻す生 (スピリチュアル) を支えるケアが繰り広げられ、生命が響きあい、生きていく力を強め、医療者も参加患者も、意識の拡張や霊的成長をもたらし、生きられる工夫や養生法を見出し、愛他精神が育まれていた」ことがすべてを物語っています。

ご縁をいただきましたすべての皆様に心中よりお礼を申し上げます。
私たちは、この活動とともに歩み、成長して参りました。得られた学びを糧に、これからも、ご縁を大切にしながら、今後の人生を、新たな目標と共に歩んで参ります。

ありがとうございました。合掌

 

※当会についてのお問合せ等は、HTBの問合せフォームからご連絡ください。

たくさんの笑顔に感謝して…これまでの活動の記録として、写真を掲載しています。