平成29年度第4回目の勉強会と総会を 2018 年3月4日(日) 札幌市立大学にて行いました。
今年度の活動は、地域社会でより多くの方が統合医療を活用していける事を目指し、統合医療への理解を深める学習や情報交換の場を設けてきました。
勉強会の最終回は「統合医療をもっと身近に」という研究会テーマのもと、統合医療ヘルスケアシステム開発機構ハマナス・音楽&看護療法研究会のご後援をいただき、陶氏診療院院長の陶恵栄先生より「中国医学を通して心と体のケアの方法を知る」ということで、ご講演いただきました。30名の参加者(内:男性6名女性24名)は、ハマナスの会の参加者や多職種の医療従事者で、道内各地のみならず、陶先生のご講演ということで関西から駆けつけた方も交えての貴重な集いとなりました。
講師の陶恵栄先生は、中国で内科医として西洋医学と中国医学の療法で6年間治療を行われた後、北海道大学医学部大学院博士号を取得後、陶氏診療院を開院されています。
ご講演では、中国医学の古典「黄帝内経」の中国医学経絡理論に基づき人間の自然治癒力を最大に発揮させる陶氏療法のエッセンスを紹介されました。陰陽のバランスをとることは「黄帝内経」の健康理念であること、気血水心を整える重要性とその方法、例えば病気の原因や自分の性格を分析すること、生活習慣を見直し黄帝内経の五臓六腑のリズムを合わせる方法等、中医学の背景理論と西洋医学的見解との照合や豊富なエピソードと臨床の事例を交えた陶先生のお話は実にわかりやすく、すぐできる指圧のご指導にも、参加者の皆さんは体得しようと身を乗り出されていました。
2000年来の中医学の智慧から、咀嚼・早寝早起き・夜の少食・断食などのシンプルな実践と継続の根拠を改めて知り、伝統医学の偉大さを再発見しました。陶先生が最後におっしゃった「命の経験」という言葉が私の胸に響きました。まず自分が実践し改善してから他人に勧めなさいと。
ご講演後、質疑応答や意見交換が活発に行われ、健康創生への意欲と絆が深まったひと時となりました。
今年度の研究会にご参加いただいた皆さんの声から、統合医療についての見解や連携を深め、社会に認知を広げる必要と、医療従事者自身の健康のための学びと実践の智慧も必要とされていることを感じました。
勉強会後、陶先生の勧めを早速実践された方や、後日陶式診療院を訪ねた方も多く、寄せていただいたご感想や陶先生の返答などは皆様の健康増進のヒントになると思いますので、改めて紹介させていただきます。
引き続き行われた総会では、開会宣言後、猪股会長から会員の知識・技術の向上や研究活動を共に行っていく意義や市民の皆さんに統合医療の良さをボトムアップしてPRしていただきたい旨についての挨拶がありました。続いて2017年度事業報告・会計報告及び2018年度2018年度事業計画・事業予算についての話し合いが行われました。今後の会の持ち方や勉強したい内容についての提案などもあり、今後の研究会が更に自由に意見が述べやすく積極的に活かされるボトムアップの環境つくりと連携へと一歩前進した総会となりました。
次回は6月24日(日)産業能率大学経営学部教授 小林昭文氏をお迎えして「アクションラーニング~気づきと行動変容が起きるグループワーク(仮)」という一日型の研修会を予定しております。内容詳細につきましては改めてインフォメーションいたします。
また、2018年10月7日(日)8日(月)には、第22回日本統合医療学会が札幌市立大学桑園キャンパスにて開催されます。統合医療に関心ある皆様、今後の研究会にもどうぞお誘い合わせの上、奮ってご参加ください。
【文責:北海道統合医療研究会副会長 吉武ゆり】